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マリアの物語 その34 さいごの時くらい
- 2013.11.10 Sunday
- 3代目マリア
- 22:02
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- -
- by ヨハネス
しかし、今日はさみしいお知らせが入っていました。
アニーさん・・・マリアの大叔母にあたる人でアンセルムの奥さんです。
急いで魔導師の部屋へ向かいます・・・
ベッドにはいつもの元気な姿からは想像できないほど弱ったアニーさんが横たわっていました。
「アニーさん」
「マリアちゃん・・・アンセルムちゃんを・・・あの子は、いちばん手がかかるんだから・・・」
「わかったわ、心配しないで」
「お願いね」
リビングにはアンセルムがいました。
アンセルムは憔悴しきった様子で、昨日まで元気だったのに・・・とうわごとのように繰り返しています。
・・・見ていられません。
今日はギートの収穫の日、もうしばらくいたいですがここでアンセルムの家を後にします。
なにか嫌な予感がして森の高台にいってみると、魔導師たちが魔獣の出現に備えていました。
その中に、アンセルムの姿はありません。魔導師3人は、魔導師長の分まで!と意気込んでいるようでした。
アンセルムは最期のときまで、アニーさんのそばにいてあげたようです。
「アニー」
「アンセルムちゃん・・・いいの?魔獣・・・」
「ああ。あいつらなら負けねえよ。それに・・・最期くらい、一緒にいさせろ」
「・・・アンセルムちゃん・・・」
アニーの手が、アンセルムの右手に触れました。弱弱しく、すがるように。
「だいすき」
「ああ、俺も・・・」
触れられた手を、優しく握って。
「愛してる・・・」
アニーはその言葉にはもう答えず、柔らかな微笑みをたたえて眠っていました。
マリアは重い気持ちのままギートの収穫へ。
そこに、姑オリーヴさんがやってきました。
「あら、オリーヴさん」
「あんたたちがちゃんと仲良くやってるか見に来ただよ」
「心配ないわ」
「そうみたいねえ。・・・ふぅ・・・年取るとすぐ疲れて嫌だねえ」
収穫を途中で抜けさせてもらって葬儀へ。
墓地にいくと、ひとりアンセルムが佇んでいました。
「アンセルム・・・」
「ロイもアニーも俺より先に逝っちまった・・・」
「・・・」
「大丈夫だ、俺も・・・すぐ同じところにいく」
「そんなこと言わないでよ・・・」
アンセルムはそれ以上なにも言わず、ただ悲しげに微笑んでいました。
喪主を務めるのは長男のデューイさんです。
アニーさん、どうか安らかに・・・
・・・・・・・・・
若いころは、結婚なんか大変なだけだと思っていた。
朝っぱらから騒がしくて、いつもいつも振り回されて、正直疲れる・・・。だから、新婚の友人に「結婚大変だぞ」と言っていたこともあった。
でも、いつのまにか・・・かけがえのない人になっていたんだ。
にぎやかでよく通る高い声が何より、愛おしい。
だから言いたい。もう、届くことはないけれど・・・
「・・・俺も、幸せだったよ。アニー。」
春風にゆられて、木の葉が答えるようにざわめきました。
アニーさん・・・マリアの大叔母にあたる人でアンセルムの奥さんです。
急いで魔導師の部屋へ向かいます・・・
ベッドにはいつもの元気な姿からは想像できないほど弱ったアニーさんが横たわっていました。
「アニーさん」
「マリアちゃん・・・アンセルムちゃんを・・・あの子は、いちばん手がかかるんだから・・・」
「わかったわ、心配しないで」
「お願いね」
リビングにはアンセルムがいました。
アンセルムは憔悴しきった様子で、昨日まで元気だったのに・・・とうわごとのように繰り返しています。
・・・見ていられません。
今日はギートの収穫の日、もうしばらくいたいですがここでアンセルムの家を後にします。
なにか嫌な予感がして森の高台にいってみると、魔導師たちが魔獣の出現に備えていました。
その中に、アンセルムの姿はありません。魔導師3人は、魔導師長の分まで!と意気込んでいるようでした。
アンセルムは最期のときまで、アニーさんのそばにいてあげたようです。
「アニー」
「アンセルムちゃん・・・いいの?魔獣・・・」
「ああ。あいつらなら負けねえよ。それに・・・最期くらい、一緒にいさせろ」
「・・・アンセルムちゃん・・・」
アニーの手が、アンセルムの右手に触れました。弱弱しく、すがるように。
「だいすき」
「ああ、俺も・・・」
触れられた手を、優しく握って。
「愛してる・・・」
アニーはその言葉にはもう答えず、柔らかな微笑みをたたえて眠っていました。
マリアは重い気持ちのままギートの収穫へ。
そこに、姑オリーヴさんがやってきました。
「あら、オリーヴさん」
「あんたたちがちゃんと仲良くやってるか見に来ただよ」
「心配ないわ」
「そうみたいねえ。・・・ふぅ・・・年取るとすぐ疲れて嫌だねえ」
収穫を途中で抜けさせてもらって葬儀へ。
墓地にいくと、ひとりアンセルムが佇んでいました。
「アンセルム・・・」
「ロイもアニーも俺より先に逝っちまった・・・」
「・・・」
「大丈夫だ、俺も・・・すぐ同じところにいく」
「そんなこと言わないでよ・・・」
アンセルムはそれ以上なにも言わず、ただ悲しげに微笑んでいました。
喪主を務めるのは長男のデューイさんです。
アニーさん、どうか安らかに・・・
・・・・・・・・・
若いころは、結婚なんか大変なだけだと思っていた。
朝っぱらから騒がしくて、いつもいつも振り回されて、正直疲れる・・・。だから、新婚の友人に「結婚大変だぞ」と言っていたこともあった。
でも、いつのまにか・・・かけがえのない人になっていたんだ。
にぎやかでよく通る高い声が何より、愛おしい。
だから言いたい。もう、届くことはないけれど・・・
「・・・俺も、幸せだったよ。アニー。」
春風にゆられて、木の葉が答えるようにざわめきました。
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