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マリアの物語 その36 恩師の旅立ち
- 2013.11.16 Saturday
- 3代目マリア
- 23:05
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- -
- by ヨハネス
しかし今日も悲しいお知らせがはいっていました。
急いでアンセルムのもとへと向かいます。
アンセルムは一人、力なくベッドに横たわっていました。
「・・・マリアか・・・」
「アンセルム・・・ダメよ、まだ、一緒に姉さんを・・・」
「ああ・・・悪いがお前とほかの連中で頑張ってくれ」
「そんな・・・」
「・・・早く行ってやらねえと、あいつら絶対待てねえだろ。アニーも、ロイも・・・」
時計の針が昼の刻を指しても、アンセルムの二人の息子たちは姿を現しませんでした。
「はは・・・あのバカども・・・来やがらねえつもりか・・・」
「アンセルム・・・」
「マリアお前まだいたのか・・・仕事行かなくていいのかよ」
「でも、そうしたら・・・アンセルム一人で・・・」
「そうか・・・」
アンセルムは、仕方ないな、というように笑いました。
「お前は・・・優しいな・・・」
そしてアンセルムは眠るように穏やかに、導かれていきました。
じきに、カルナの乙女様がやってきて、アンセルムのために祈りを捧げます。
ちょうど出棺を見送ったころ、アンセルムの息子フランシスがやってきました。
誰もいないリビングに、一人腰かけて物思いにふけっているようでした。
「静かだな・・・」
「ええ・・・」
「・・・母さんがさ、朝一番で『アンセルムちゃん起きてー!』っつってさ、朝から騒がしいんだ。いつまでも起きない父さんの布団はがして、父さんもうっせーとか朝から疲れるとか言いながらまんざらでもなさそうでさ。俺が物心ついたときから何年もそんなこと繰り返して・・・」
フランシスは、両親の思い出を話し始めました。
「父さん時々食べ物こぼして、そのたびに服は自分で洗え!って母さんに言われてたなあ。酔っぱらってなぜか川に飛び込んできて、母さんに大目玉食らってたこともあったっけ・・・」
ふぅ、とため息をついて、遠くを見つめます。
「でも、もういないんだな・・・二人とも・・・」
さみしそうにつぶやいたフランシスの瞳はうるんでいるように見えました。
「こんなだけど、すげえ大好きな家族だった。もう、いないんだな・・・」
気が付いてみれば、時計の針はずいぶん進んでいました。
「・・・そろそろ、ここにも新しい魔導師さんが来る時間か・・・もう行かなきゃな」
「そうね」
「わりぃな、変な話きかせて。よかったら葬儀にも顔出してやってくれ。」
「そのつもりよ」
「ありがとう・・・父さんもきっと喜ぶ」
生徒の中でもマリアはお気に入りだったんだぜ、と教えてくれました。
夕方、アンセルムの葬儀に参列します。
喪主は長男のデューイさんです。
今頃、ロイ様と再会してバカやってる頃でしょうか?
アンセルムは、ジャクリーヌさん、ロイ様、そしてマリアと、三代にわたって友人として付き合ってきました。
ジャクリーヌさんはもう一人の息子のように。ロイ様は大親友として。マリアは恩師であり第二の父親のように・・・
ありがとう、どうか、安らかに・・・
急いでアンセルムのもとへと向かいます。
アンセルムは一人、力なくベッドに横たわっていました。
「・・・マリアか・・・」
「アンセルム・・・ダメよ、まだ、一緒に姉さんを・・・」
「ああ・・・悪いがお前とほかの連中で頑張ってくれ」
「そんな・・・」
「・・・早く行ってやらねえと、あいつら絶対待てねえだろ。アニーも、ロイも・・・」
時計の針が昼の刻を指しても、アンセルムの二人の息子たちは姿を現しませんでした。
「はは・・・あのバカども・・・来やがらねえつもりか・・・」
「アンセルム・・・」
「マリアお前まだいたのか・・・仕事行かなくていいのかよ」
「でも、そうしたら・・・アンセルム一人で・・・」
「そうか・・・」
アンセルムは、仕方ないな、というように笑いました。
「お前は・・・優しいな・・・」
そしてアンセルムは眠るように穏やかに、導かれていきました。
じきに、カルナの乙女様がやってきて、アンセルムのために祈りを捧げます。
ちょうど出棺を見送ったころ、アンセルムの息子フランシスがやってきました。
誰もいないリビングに、一人腰かけて物思いにふけっているようでした。
「静かだな・・・」
「ええ・・・」
「・・・母さんがさ、朝一番で『アンセルムちゃん起きてー!』っつってさ、朝から騒がしいんだ。いつまでも起きない父さんの布団はがして、父さんもうっせーとか朝から疲れるとか言いながらまんざらでもなさそうでさ。俺が物心ついたときから何年もそんなこと繰り返して・・・」
フランシスは、両親の思い出を話し始めました。
「父さん時々食べ物こぼして、そのたびに服は自分で洗え!って母さんに言われてたなあ。酔っぱらってなぜか川に飛び込んできて、母さんに大目玉食らってたこともあったっけ・・・」
ふぅ、とため息をついて、遠くを見つめます。
「でも、もういないんだな・・・二人とも・・・」
さみしそうにつぶやいたフランシスの瞳はうるんでいるように見えました。
「こんなだけど、すげえ大好きな家族だった。もう、いないんだな・・・」
気が付いてみれば、時計の針はずいぶん進んでいました。
「・・・そろそろ、ここにも新しい魔導師さんが来る時間か・・・もう行かなきゃな」
「そうね」
「わりぃな、変な話きかせて。よかったら葬儀にも顔出してやってくれ。」
「そのつもりよ」
「ありがとう・・・父さんもきっと喜ぶ」
生徒の中でもマリアはお気に入りだったんだぜ、と教えてくれました。
夕方、アンセルムの葬儀に参列します。
喪主は長男のデューイさんです。
今頃、ロイ様と再会してバカやってる頃でしょうか?
アンセルムは、ジャクリーヌさん、ロイ様、そしてマリアと、三代にわたって友人として付き合ってきました。
ジャクリーヌさんはもう一人の息子のように。ロイ様は大親友として。マリアは恩師であり第二の父親のように・・・
ありがとう、どうか、安らかに・・・
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